著者
多田 耕一
2025.07.04
設計室の多田です。
暑い日が続きますね。後3か月はこの状態が続くのかと思うと恐怖さえ感じます。
さて、今回ご紹介する本は西股総生 著『パーツから考える戦国期城郭論』です。
あらすじ…城のウエポンシステムを解き明かす!
本書は、戦国時代の城郭を「パーツ」すなわち虎口、石垣、堀などの構成要素ごとに分析し、それらが果たした役割や時代的変化を読み解くというユニークな視点で書かれている一冊です。
従来の「有名な城」中心の通史的な語りでは見落とされがちな、地方城郭や中小規模の遺構にも光を当て、戦国期における実用的な軍事施設としての城の本質に迫っている点が印象的でした。
特に、虎口の構造や導線に着目した章は、戦術的な工夫が具体的に伝わり、実際の攻防を想像する楽しさがありました。
地域による差異にも触れられていて、城郭研究が単なる歴史の一分野ではなく、地理・風土との関わりの中で進化した複合的な文化であることを実感しました。
今後、もし松山城に足を運ぶ機会があれば、単に天守を観に行くのではなく、この本で触れられたような「パーツ」に着目して見物してみようと思いました。